I love you = ユーエ『君は笑って。その為に僕は生きる。』
月が綺麗だ。
花見をしよう、とユーエに連れ出されて出向いたのは、近くの公園だった。上を見上げれば、薄紅色の花が大量にこちらを向いている。
「桜の花って、下向いて咲いてるから、見上げた時に綺麗なのよ」
風に煽られてはらはらと、桜の花弁が舞い散っていく。ひらはらふわふわ、自分の隣のさくらに掛かって、綺麗な色だ。
つい、見惚れる。
「花の柄が長いけど弱いから垂れ下がる、とか、ひとが品種改良を重ねて、見上げた時に綺麗なようにしたとか、いろいろ説はあるけれど、……聞いてる?」
「ん、ああ」
ごめん、正直、聞いてない。
難しい話はあまり得意じゃないし、桜の豆知識よりかは、目の前の方を楽しみたい性分だった。綺麗で可愛くて薄い色がよく映える、
「聞いてないでしょ、もう、知ってたけど」
「はは、ごめんごめん。夜桜もいいけど夜の咲良乃も楽しみたいなーって」
「……最低ね」
文字こそ違えど、さくらの名前を冠しているから、桜の花が一番好きなの、と聞いたのはいつのことだったか。舞い散る桜の下、不服そうな顔の彼女に向けてそう誂えば、眉間にしわが寄った。
変なこと言ったつもりはないのに。
「……変な意味で言ったつもりはないんだけどな?期待でもしたか?」
「はあ!?」
違うわ、そんなことないわ、と、顔を赤くしながら言った彼女は相変わらずかわいい。あとでしこたま弄ぶのも悪くない。
つい、そんな様子のユーエを見て笑みが零れる。藍色の瞳がすっと閉じて、諦めにも似たため息のあと、そこに笑顔の花が咲く。
「わたし、アルの笑ってる顔、だいすきよ」
「なんだ急に」
ふんわりと抱きついてくる薄緑を受け止めると、間髪入れずにすっと、軽い口付けが頬にひとつ落ちた。こつん、と彼女の顎が肩に乗って、じんわりとそこに重さがかかって、存在を主張してくる。
そして彼女は言うのだ、
「アルは、笑って。たっくさんたくさん笑って。そのために、わたしは生きるわ」
そう言って笑う顔が何より愛しい。
剣に誓って、一生護って添い遂げると、決めたその、それ。
「……ああ。俺もユーエのために生きるよ、だからたくさん、笑ってくれ」
腕の中のさくらが散らないように。
I love you = アルさん『偶に君を壊したくなる』
月が綺麗だ。
花見をしよう、とアルキメンデスに連れだされたのは近くの桜並木だった。上を見上げれば、薄紅色の花が大量にこちらを向いている。
「ああ、いいなあ。夜桜って風情があるぜ」
風に煽られてはらはらと、桜の花弁が舞い散っていく。ひらはらふわふわ、自分の隣の大切なひとに掛かって、綺麗な色だ。
つい、見惚れる。
「……なんだユーエ、俺じゃなくてもっと桜を見ろよ、花見に来てるんだからさ」
「ああ、うん」
ごめん、正直、どうでもいい。
桜は正直見慣れていたし、それよりも目の前の方を眺めていたかった。花弁と合わさった青色がなんだかずいぶん神秘的な色を作っていて、
「ったく、そんなに俺のほうがいいのかー?」
「うえっ、だって、……うー、そうだよ、って言ったらどうするの」
「すごく嬉しい」
桜の木の下、明るい声と共に強い力で抱き寄せられて、息が詰まりそうになる。思っていることを正直に言っただけなのに、彼が腕に込める力は随分と強くて、痛い。
変なこと言ったつもりはないのに。
「……わたし、なにか変なこと、言った?」
「いいや」
そんなことないよ、ただこうしたくなっただけなんだ、そう言ってまた抱き締める力が強くなって、息が詰まる、そんな中でも彼の横顔をちらと確認できるだけで、ひどく安心する。
ただどうしたんだろう、そう思いながらアルキメンデスを見やれば、青色の瞳がすっと閉じて、そっと頬に口付けがひとつ落とされた。
「ユーエは、本当に、かわいいな」
「……急にどうしたのね」
自分を抱きしめてくる青色も、もはや桜など見ていなかった。強く、強く抱きしめられて、掛かる力と伝わってくる体温が、彼の存在を主張してくる。
そして彼は言うのだ、
「――偶に、ユーエのことを壊したくなる。俺の傍から、絶対離れて行かないように」
そういって見つめてくる精悍な顔が心をぶち抜く。
左手の指輪に誓って、一生彼の傍にいると、決めたその、それ。
「どうして、離れていくと思っているの、もう、絶対に離れないわ」
さくらはとっくに、根を張って動かない。
20140410
ネタにした診断は
こちら。
ユーエのそれがまんますぎてウウウオオアアアア!!!!!!!!ってなりながらアルさんでよったら割とうん……?ってのが出てきて難産と化す
いやでもぶっちゃけアルユエは相互依存だと思う。アルさんは強メンタルだからそう見えないだけで実はみたいなやつだともう俺が死ぬ