一揆参戦15日目

(闘技番外編その2)



わかったことがひとつある。
この世界のわたしは、足手まといでしかないということだ!!

「フェデルタおっつー!!マジ青天井恐ろしいわー」
「……ん、ああ、お疲れさん。お前こそよく粘ったな」
「そこはパリィの名にかけてちょっとな」

それからわたしの知っているおじさんとかクソサブカルパリィニート野郎とかじゃ全然ないし(クソサブカルパリィニート野郎はニートどころかいつだって大活躍していたし、おじさんはこの人こんなに前に立っていられる人だったっけと思った)、とにかくこの世界はなんというか恐ろしい。……いや、わたしだって、エンブリオくらいはメルンテーゼに来てから扱えるようになったけれど、今のわたしは本のわたしであって、まだネクターもなにも手にしていないわたしだ。

「ユーエもおっつかれー」
「……わたしは、何もしてない……」

後ろで手拍子。だいたい1ターン目でもう下がる。あとはフェデルタさんとカズトとセラティヤさんが、どんぱちやってるのを見てるだけ。
はじめから3-4、常にどう足掻いても不利、かといってわたしになにができるでもなく、――

なんで彼らはわたしをここに連れてきたんだろう。



「……カズト、カズトちょっといい」
「おっ何ー」
「えっと、――」
「……やるのは全然いいぜ大賛成、だけ、ど!なんで俺が言わなきゃならないんだよ殴られてしにそうなんだけど俺が」
「大丈夫大丈夫お前だし」
「いやいやいや」
「いけるいける」
「……フェデルタが言いたくないだけだよな」
「……なんのことだか」



できることは大してないのにも関わらず、次の闘技はやり方を変えてもらうぜ!と面と向かってカズトに言われた。差し出されたメモの通りにということで。
――メモを三度見くらいした。

「カズト」
「何でしょう」
「なにこれ」
「今回の闘技の目玉!オーバードライブのノリで超余裕だって!!」

ちょっと待ってほしい。グーで殴りたい。
というか中身は子持ちの人妻なのにちょっとそういうのやらせるのは勘弁してほしいレベルに勘弁してほしい。――と思ったけどもしかしたらみんな知らないのかもしれない。見た目的にはまだ新婚の頃だから行ける気はしている、ってそうじゃなくて。

「何ならほら俺がね!エスコートしてあげるからほら」
「誰があんたのエスコートなんか」
「エスコートじゃなくてリードっていうかあれだよなんかあれ!通じろ!!」
「通じてるけど!!嫌ね!!」

散る火花。
埒が明かないと思ったのか、カズトはわたしの耳元で、他の二人――というより、赤いコートのほうを気にしながらひそひそと話しかけてくる。

「これ俺じゃなくてフェデルタの案なの!ユーエが役に立てなくてしょげてるっぽいからあいつでもできそうなこと考えたらこうなったって……あっでも服そおいするのは俺の案」
「そういう余計な一言本当に余計だわ」

けれど役に立てるというなら、

「……やっても、いいけど、……やってやるわ」
「ひとりで恥ずかしくないようにそこはな、俺もいろいろ手回ししてやるぜ」
「……あのねカズト、ひとつだけ聞いていい」

ギターを背負い直した彼に問う。

「ん?」
「どうしてわたしみたいな役立たずをそもそも呼んだの」
「……さあ?神様のお導きとかそういう系じゃない?けど4人集まってなんかやるっつーからには楽しまねーとな!」

にかっと笑う彼は、初めて頼ってもいいと思える気がした。
本の中じゃもっぱら殺意しか向けてなかった覚えがあるけれど。

「……ん」
「んじゃ次もがんばろーぜ」
「そうね」

などと意気込んで(ついでに覚悟を固めた)次の試合が、イケメンまみれになることなど彼女は知る由もなかった。

第46回更新
物ドール Lv.30/物シルフ Lv.25/物ケットシー Lv.25/物コルヌ Lv.40/物パロロコン Lv.20/物フラウ Lv.10
CLV 4076
MHP 10352/STR 572/INT 202
MSP 918 /VIT 240/MND 276
PSP 72 /TEC 843/AGI 706